2000年5月10日(水)15:13

シュレーダー首相はチェコのEU加盟を支援

ベルリン(ロイター)

 連邦首相ゲルハルト・シュレーダー(社会民主党)は水曜日、チェコの欧州連合加盟に対するドイツの支援をあらためて確約した。チェコのヴァーツラフ・ハヴェル大統領との会談においてシュレーダー首相は、ドイツ側からチェコのEU加盟に条件を付けるべきであるというズデーテン・ドイツ人の要求を退けた。ハヴェル大統領とドイツ連邦大統領ヨハネス・ラウは、両国関係の歴史的な負の遺産を見据えつつも、両国は未来に目を向けるべきである、と強調した。

 EUの拡大担当委員ギュンター・フェアホイゲンはドイツ連邦政府に対し、遅々として進まないEUの機構改革の協議を促進するべくイニシアチブを取るよう求めた。

 シュレーダー首相は、ドイツは両国間およびヨーロッパのレベルでチェコの加盟要求を支援すると発言した。また同首相はハヴェル大統領を「ドイツの真の友人」と呼び、ドイツとチェコの和解に対する同大統領の貢献に感謝の言葉を述べた。シュレーダー首相が、初の公式訪問となるハヴェル大統領を、首相府でなくベルリン・ダーレムにある首相の執務別荘に迎えたことは、特別の敬意の表れと見られている。

 ハヴェル大統領はシュレーダー首相にドイツの支援を感謝し、そのような援助が将来もきわめて重要になる、と強調した。また両国のNATOにおける協力関係も高く評価した。二人の政治家は良好な両国関係を讃え合った。ハヴェル大統領は金曜日までドイツに滞在する予定である。

  EU加盟の前にチェコ政府はドイツ人の放逐を定めたベネシュ布告を撤回すべきであるというズデーテン・ドイツ人の郷土会から出されていた要求について、シュレーダー首相は「的はずれ」と評した。首相は、同布告はもはや失効したという見解をとる、と述べた。この布告は第二次大戦後のズデーテン・ドイツ人数百万の放逐と財産没収を公認したものである。シュレーダー首相はさらに、国家としてドイツはチェコに対しいかなる財産要求も持っていない、と述べた。

 これより前、ハヴェル大統領はラウ大統領との会談を終えて、同布告はチェコの法制史の一部であり、撤回こそされていないもののもはや効力を持たないことを強調した。ハヴェル大統領も、チェコのEU加盟を同布告の撤回と結びつけるべきとするズデーテン・ドイツ人の要求に反対の姿勢を示した。同大統領は、両国が過去に由来する問題で両国関係の発展を妨げないとした1997年のドイツ・チェコ宣言を引用した。この宣言は、ナチス時代のドイツによる当時のチェコスロヴァキア占領と1945年以降のズデーテン・ドイツ人の放逐という問題により、90年代に至るまで緊張の絶えなかった両国関係に、新たな時代を開いたものとして評価されている。

 大統領府の発表では、両大統領の会見の際、外務次官クリストフ・ツェーペル(社会民主党)がEU加盟交渉の進捗状況を説明した。その際ツェーペル外務次官は加盟に向けたチェコ共和国の「大きな進歩」を称賛したという。ドイツはとりわけEUの東方拡大への取り組みを支援している。拡大の条件となるのが欧州連合(EU)の改革であり、目下15のEU諸国が協議を行っている。

 EU改革に向けた進展があまり見られない状況を踏まえ、フェアホイゲン拡大担当委員は、これまではそれぞれの委員が旧知の見解を陳述するにとどまっていたため、事態が進展しなかった。協議が予定どおり年末までに終わらない場合は、EUの東方拡大が「きわめて危うくなる」、と語った。「これまで加盟交渉は計画段階にとどまっていた。もちろん農業問題のような難しい領域もいまだ協議されていない。」シュレーダー首相は、2001年までにEUは拡大に対応できる態勢を整えていなくてはならない、と述べた。

 バイエルン州首相エドムント・シュトイバー(キリスト教社会同盟)はブリュッセルの欧州議会を訪問し、拡大計画を「堅実な基盤」の上に築くよう求めた。「それゆえ加盟の基準としては、とりわけ候補国の経済的成熟度が考慮されねばならない。EUは加盟基準を緩めてはならない」と述べた。シュトイバーはさらに、明確な加盟期限を記した計画表の作成を戒めた。「そうなれば政治的圧力がかかり、EU加盟基準の緩和に道を開くだけだ」と語った。

原題:Schroeder unterstuetzt Tschechiens EU-Beitritt